Acid red 265標準液(0.4㎎/Lおよび1.0㎎/L)と水道水に次亜塩素酸ナトリウムで残留遊離塩素濃度を0.4㎎/Lおよび1.0㎎/Lに調整した検水を硫酸あるいは水酸化ナトリウムでpH5.8(±0.2)およびpH8.6(±0.2)に調整したものに、DPD溶液を添加したものを比較
pH5.8とpH8.6でも告示法(Acid red 265標準液)と呈色に差がないことが確認できました。(比色管が円柱形なので、写真だと光の加減で色味に若干バラつきを感じますが、肉眼では同じです)
酸化力(殺菌力)の強い次亜塩素酸の割合はpHによって大きく影響を受けます。pH5.8ではほとんど全てが次亜塩素酸として存在しますが、pH8.6では次亜塩素酸は1割を下回ります。pH8.6で減った次亜塩素酸は次亜塩素酸イオン(文脈によっては次亜塩素酸ナトリウムと同じ)として存在します。
この試験では、pH5.8とpH8.6に呈色に違いなく残留遊離塩素濃度を測定できました。これは化学平衡という自然の働きによるものと考察します。次亜塩素酸が消費されれば、次亜塩素酸イオンが次亜塩素酸に変わることで常に割合が一定になる働きです。そのため浴場水やプール水の水質管理ではpH5.8~pH8.6の範囲内であれば消毒効果は期待できると考えます。